
人は、霊性を高めるために生まれてきました。
それだけでも、霊性を高める理由としては十分なのですが、日々の生活のなかで感じられる何らかのメリットがないと、なかなか霊性向上の道に踏み出しにくいと思います。
「霊性とは何か」では、霊性が高まると現れる変化を4つ挙げました。このページでは、私自身が感じてきたことも交えながら、その4つを、もう少し詳しくお話しします。
霊性が高まると現れる、4つの変化
① 迷いが減る
人は何のために生きるのか。生きる目的は何か。
この問いに対して、家族のため、社会のため、楽しむため、愛する人のためなど、人それぞれの答えがあります。どれも、否定されるものではありません。ただ、それは「その人」の価値観で考えた、生きる目的です。
人間全体に共通する生きる目的は、霊性を高めることです。
この目的が分かると、「これでいいのだろうか」という迷いが、少しずつ減っていきます。
旅と同じです。目的地が分からないまま歩いていると、今進んでいる道が正しいのか、近づいているのか遠ざかっているのかも分かりません。けれど、目的地が分かれば、進む方向が分かります。進む方向が分かれば、迷いはおのずと少なくなっていきます。
「この道でいいんだ」と思えると、自信をもって前に進むことができます。
② 心に余裕が生まれ、事実が見えやすくなる
心が乱れているとき、人は物事を冷静に見ることが難しくなります。
イライラしているとき、不安でいっぱいのとき、心に余裕がないとき。私たちは、事実そのものよりも、自分の思い込みに飲み込まれてしまいます。
霊性が高まると、心に余裕が生まれます。心のタンクのようなものが大きくなり、自分の感情や考えを、少し離れたところから客観的に見やすくなります。
すると、これまで当たり前だと思っていたことに、「あれ、なんだか違うかもしれない」と気づけるようになります。自分の価値観そのものが、実は苦しみを生み出していた ── そんなことにも、気づきやすくなっていきます。
私たちの心は、「恥ずかしいことをしてはいけない」「劣ってはいけない」「嫌われてはいけない」「頑張らなくてはいけない」といった、たくさんの価値観できつく縛られています。その縛りがゆるんでいくと、物事を広い視野で、落ち着いて見つめられるようになります。
私たちはいつも、価値観という色眼鏡をかけたまま世界を見ています。色眼鏡を外して見える事実というのは、思っているよりも自分に優しいものです。
③ 性格を変えやすくなる
苦しみを生む考え方や感じ方のパターンは、多くの場合、幼少期の親子関係のなかで作られます。
これは認知の歪みやインナーチャイルドと呼ばれています。ヨーガでは心の作用、仏教では煩悩という言葉で語られることもあります。
頭では「こう考えればいい」と分かっていても、気持ちがついてこない。性格を変えたいのに、なかなか変えられない ── その背景には、こうした幼少期に作られたパターンがあります。
霊性が高まり、客観的な事実が見えやすくなると、自分の価値観の歪みや、心のパターンに気づきやすくなります。気づければ、向き合うことができます。
つまり霊性向上は、性格を変えていく力そのものを、育ててくれるのです。
「自分は愛されない」「自分はダメだ」といった思い込み(インナーチャイルド)の癒しについては、「インナーチャイルドとは何か ─ 心理学で分かりやすく解説」で詳しくお話ししています。
④ 神仏に愛されていることに気づく
私たちは心の奥で、いつも愛され、認められることを求めています。人や社会に、愛され、認められ、評価されるために、多くの時間を費やしています。
親に認められるために勉強し、社会に認められるために働き、悪く思われないように我慢する。私自身もそうでしたが、よくある話だと思います。
この根には、自己評価の低さの問題があります。「自分は、愛されるような人ではないのではないか」── その不安を埋めるために、能力・地位・名誉・容姿などで、自分の価値を認められたいと願うのです。
心理学では、人の苦しみの根底には「自分は愛されていない」という感覚がある、と説明されます。
けれど、本当は、すべての人が神仏から無償の愛を与えられています。信仰のあるなしに関わらず、神仏はすべての人に、愛を「常に」与えています。
真摯に修行を積み、霊性を高めていくと、あるとき、ふと、それに気づきます。「ああ、自分は、ずっと愛されていたんだ」── そんな感覚が、実感をともなって湧いてくるのです。
それは、特定の誰かに愛されているという話ではありません。もっと根源的な、人を生かしてくれている「愛」の存在を、実感する感覚です。
神仏に常に愛されている。そう実感できると、過剰に愛を求める必要がなくなっていきます。愛されるための人生から、自分のための人生へと、少しずつ変わっていきます。
まとめ ── 紹介したのは、ほんの一部です
ここでお伝えした4つは、霊性を高めることで現れる変化の、ほんの一部にすぎません。霊性向上には、このほかにも、たくさんのメリットがあります。
そのなかで、もし今、心がつらい方、精神的に苦しい時期にいる方にとっては ── 「神仏に愛されている」と気づけることが、大きな支えになると思います。
私たちが日々感じる苦しみは、「愛されたい」という思いから生まれています。その奥には、「私は愛される存在ではない」という思い込みがあります。
人は、愛されたい生き物です。「私は愛される存在ではない」と思いながらも、本当は愛してほしい。だから、過剰に、愛を求めてしまうのです。
けれど、私たちは、無条件に神仏に愛されています。
霊性を高め、神仏の愛を実感していくと、「私は愛される存在ではない」という思い込みが、薄れていきます。人の愛にも気づきやすくなります。愛されていると実感でき、これ以上愛を求めなくてよいと分かってくると、苦しみは減っていきます。
十分に愛されている ── そう理解できるようになると、周りの目を気にする必要がなくなります。他者の評価に惑わされず、自分のための人生を歩めるようになります。
これは、特別な人だけに起こることではありません。霊性向上は、誰にでも開かれた道です。
霊性の全体像については、「霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話」でもお話ししていますので、合わせてご覧ください。