
人の目が、いつも気になってしまう。人混みに出ると、なぜか怖くなる。ちょっとしたことで心が大きく揺れて、いつも気を張って、疲れている。
そんな方は、もしかすると「愛着」という心の土台に、傷を抱えているのかもしれません。とくに、HSPやクンダリニー症候群といった、生まれ持った霊性の高い方は、その傷が深くなりやすいと考えています。
愛着の問題を、当室では広い意味で「インナーチャイルド」のひとつとして扱っています。ただ、インナーチャイルドには明確な定義が無いので、愛着の問題を含めない方もいます。少しわかりにくいかもしれませんが、苦しみから抜け出すうえでとても大切なことなので、ここでお伝えします。
そして愛着の問題は、程度の差こそあれ、すべての人が抱えているものです。愛着の問題に対処することによって、誰もが今より生きやすくなっていきます。
このページでは、愛着とは何か、それがどのように生きづらさへつながるのか、そして愛着と霊性の関係についてお話しします。
愛着とは
愛着とは、「愛されている感覚」「守られている感覚」。そういった、幼少期のごく初期に作られる"感覚"のことです。
親や、親に代わる人から、愛情をもって抱きしめられ、守られる。その経験を通して、安心感や、「自分は愛されている」という感覚、愛情の心地よさを学んでいきます。
一般的なインナーチャイルドが、言葉を理解できるころに作られるのに対して、愛着が作られるのは、それよりもっと前、まだ言葉を理解できないころです。だからこそ、言葉ではなく"感覚"として、心に刻まれます。
インナーチャイルド(言葉を理解したあとに作られる「思い込み」)については、こちらでお話ししています。
→ インナーチャイルドとは何か ─ 心理学で分かりやすく解説
愛着は、心の土台
愛着は、基本的信頼感とも呼ばれます。心の土台であり、心を一本の木にたとえるなら、根や幹にあたる部分です。
根や幹がしっかりしていれば、木は少しの風ではびくともしません。けれど、根や幹が弱いと、少しの風でも大きく揺れてしまいます。

同じように、守られている感覚や愛されている感覚が十分に育まれず、愛着がうまく形成されなかった場合、少しのことでも心が大きく揺れてしまいます。
愛着に傷を抱え、守られている・愛されているという感覚が薄いと、人間関係の中で安心感を得ることが難しくなります。
心の幹が弱いので、いつも不安定で、揺れているような状態です。少し押されただけで木が揺れるように、ストレスにさらされると、心がグラグラと揺れてしまう。そのため、常に緊張して身構え、疲れ果ててしまいます。
愛着のセラピー
愛着は、言葉を知る前の、幼少期のごく初期に育まれます。そのため、大人になった自分が子ども時代の自分に優しく語りかける、というインナーチャイルドの癒しのやり方では、愛着の問題にうまく対処できません。
そこで近年は、"感覚"を使った「愛着のセラピー」が行われています。
言葉で導くインナーチャイルドの癒しについては、こちらでお話ししています。
→ インナーチャイルドの癒し方 ─ 思い込みをほどいて、選べる自分になる
心の中に守られている感覚が薄い人は、外の世界に出るために、心の中に自分で自分を守る盾を作らなくてはなりません。そのため、いつも体に力を入れて、不安を感じながら生活しています。
でも本当は、その盾は、子どものころに親が盾となって守ってくれる経験を重ねながら、心の中に自然に作られていくものです。親に抱きしめられ、守られることで、「自分で自分を守ろうとしなくても、もう守られている」という感覚が育っていきます。
自分で盾を作らなくても、既に守られているので、力を抜いて生活ができます。
愛着のセラピーでは、盾(段ボールなど)を使って、その盾を心の中に作り直し、守られている感覚を育てていきます。
守られている感覚がじゅうぶんに育ったら、次は愛されている感覚です。子供の成長には愛情が必要です。クッションを使って、抱きしめられている感覚、支えられている感覚を体験し、愛されている感覚を学んでいきます。
愛着と霊性
ここからは、愛着と霊性の関係です。
生まれつき、高い霊性を持って生まれてくる人がいます。高い霊性を持って生まれることは素晴らしいことですが、ときに、親の霊性よりも高い霊性で生まれてくることがあります。
親より高い霊性で生まれた人は、愛着に傷を抱えやすい
私たち独自の呼び方ですが、親よりもかなり高い霊性で生まれてきた方の親子関係を、『逆転親子(ぎゃくてんおやこ)』と呼んでいます。
子どもである自分の霊性のほうが高いため、相対的に、親の霊性のほうが低い状態になります。
本来は守ってもらいたい親の霊性が、相対的に低い。そのため、守られていても、どこか不安が残り、安心感を得にくくなります。抱きしめられ、愛されても、愛情の心地よさを感じ取りにくいのです。高い霊性で生まれた方が愛着に傷を抱えやすいのは、こうした理由からです。
HSP・クンダリニーの方
HSPの方や、クンダリニー症候群になるような方は、とくに生まれ持った霊性が高く、親と自分の霊性のギャップが大きくなりがちです。
HSP・クンダリニー症候群については、それぞれこちらでお話ししています。
→ HSPとは何か ─ 霊性から見えてくる、敏感さの理由
→ クンダリニー症候群とは ─ 原因と、回復への道
そのため、愛着の傷も大きくなりやすく、HSPの繊細さのように、生きるのがつらくなってしまう傾向があります。
高い霊性を持って生まれた人は、愛着の問題を抱えやすく、生きづらい人生を歩んでこられたことと思います。けれど私は、その生きづらさは、高い霊性を持って生まれ、この世でさらに高い霊性へと成長していくための、修行の課題として与えられているものだと考えています。
「求められている霊性」と「今の霊性」のギャップについては、こちらでお話ししています。
→ 3つの霊性 ─ 今の霊性・適正霊性・求められている霊性
まとめ
愛着の問題は、多かれ少なかれ、すべての人が持っているものです。
インナーチャイルドの癒しでは効果が期待しにくいのですが、感覚を使った愛着のセラピーで対応できます。
愛着のセラピーを繰り返すことで、心の土台がしっかりしてきます。土台が安定すれば、多少インナーチャイルドが刺激されても、心の揺れは小さくて済むようになります。
また、高い霊性を生まれ持った人は、信仰のない生活のままでは、それ以上に霊性を高めていくことは難しいでしょう。
人は、霊性を高めるために生まれてきました。生まれ持った霊性が高い人が生きづらい人生を歩むのは、その困難によって、霊性向上の道に気づくためではないでしょうか。そう考えると、今世でさらに霊性を高めていくために、必要なことだと考えることができます。
それが、クンダリニーが「神様の意思」と言われ、私たちを成長へと導くエネルギーである所以(ゆえん)なのだと思います。
霊性の全体像については、「霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話」でもお話ししていますので、合わせてご覧ください。