心の癒し

インナーチャイルドの癒し方 ─ 思い込みをほどいて、選べる自分になる

朝の光に包まれた小さな芽。子どものころの心を癒し、本来の力を育てていくイメージ

インナーチャイルドの癒しとは、子どものころに身につけた苦しい思い込みをほどいて、新たな楽に生きる価値観を手に入れる取り組みです。

癒し方には2つの方法があります。ひとつは、世間でよく紹介されている方法。もうひとつは、カウンセリングの現場で使われている方法です。

入り方は違いますが、どちらも「思い込みが作られた場面に立ち返り、そこで癒しをしていく」という点では同じです。この記事では両方をお伝えします。

そもそもインナーチャイルドとは何か、はじめての方はこちらから。
インナーチャイルドとは何か ─ 心理学で分かりやすく解説

考え方→感じ方→行動 という順番

性格とは「考え方・感じ方・行動」のパターンが集まってできています。

実は、この考え方・感じ方・行動には順番があります。

  • まず〇〇と考えることによって、▲▲と感じる。
  • 〇〇と考え、▲▲と感じることによって、■■と行動する。

このように、考え → 感じ → 行動するという順番になっています。

例えば、Aさんが私に挨拶をしなかったとき。

「無視された。嫌なやつだ」と思う(考え方)
 ↓
「腹が立つ」(感じ方)
 ↓
「私も無視をする」(行動)

インナーチャイルドは人それぞれ違うので、同じ出来事でも、別の人はこうなるかもしれません。

「怒らせてしまった。何かしただろうか」と思う(考え方)
 ↓
「怖くなる」(感じ方)
 ↓
「おどおどする」(行動)

ここで言いたいのは、いちばん最初に「考え方(価値観・思考)」があるということです。

ですから、苦しくなるような考え方を変えれば、性格を変えることができます。そして、その方法がインナーチャイルドの癒しなのです。

苦しい思い込みは、子どものころに身につけたもの

この「考え方」は、思い込みと言いかえることもできます。

インナーチャイルドが作られたころは、まだ小さな子どもで、正しい判断ができていません。親子関係や周囲との関係の中で、「自分には価値がない」「自分は居てはいけない」「自分は考える力がない」「人を信じては危ない」といった、真実ではない考えを身につけてしまいました。

心の中の小さなインナーチャイルドは、今もそんなことを言い続けています。

そんなインナーチャイルドに、新しい考え方を心から思えるように導くこと。それがインナーチャイルドの癒しです。

例えば「自分には価値がない」と思い込んでいるインナーチャイルドに、

「あなたには価値があるんだよ。なぜなら、あなたはそこにいるから」

そう伝えて、インナーチャイルド自身が「私には、もちろん価値がある」と心から理解できるように導いていきます。

ただ、伝えるだけでは納得してくれません。そこが、インナーチャイルドの癒しの難しいところです。

インナーチャイルドの「思い込み(禁止令)」については、こちらで一つずつ詳しくお話ししています。
インナーチャイルドの12の思い込み

インナーチャイルドの癒し方

① 基本の流れ ── インナーチャイルドの味方になる

変えたい思い込みを持っているインナーチャイルドが、目の前にいると空想します。そして、そのインナーチャイルドの味方になって、優しく語りかけます。

この「優しく」が大切です。ここでの優しさとは、その子の気持ちに寄り添うということです。

例えば、先ほどの「私には価値がない」と思い込んでいるインナーチャイルドが、目の前にいると思ってください。

ここで「あなたには価値があるよ」と言っても、「そんなことない!」と返されてしまいます。

インナーチャイルドは、ずっと「私には価値がない」と思って生きてきました。「価値があるよ」と言われても、すぐには受け取れません。

そこで、当時こんな大人がいたらインナーチャイルドにならなかっただろうな、と思うような大人になって、このインナーチャイルドの気持ちを聞いていきます。

「どうして、そう思うの?」
「それは、辛いよね」
「ずっとその中で我慢してきたんだね」
「頑張ったね」
「辛かったね」

インナーチャイルドの100%の味方になって、説得するのではなく、その子が受け入れられるように「あなたには価値がある」と伝えていきます。

このときに必要なのが、幼い自分に対する優しさです。わがままでいいし、親に迷惑をかけてもいいし、ルールなんて考えなくてかまいません。「だって子どもなんだから」と、子どものころの自分のための優しさをもつことです。

ルールや正しさに強く縛られている人は、日々の生活の中で自分自身に優しくなって、締めつけを少しずつ弱める練習をするとよいと思います。

そして、ある程度の霊性の高さがあると、このインナーチャイルドに対する優しさが、自然と芽生えてきます。

心を癒すことと、霊性を高めることのつながりは、こちらでお話ししています。
インナーチャイルドの癒しと霊性向上 ─ 心を癒すことは、魂を育てる修行

② 感情処理を使った癒し

私がよく使うのは、感情処理を使ったカウンセリングの手法です。空想の中で、インナーチャイルドを作った瞬間の自分に身を置き、その場面で感情処理を行います。

考え方・感じ方・行動のパターンをたよりに、いつからそう考えたり感じたりするようになったのか、その最初の場面(決断場面)に半分くらい身を置いて、そのとき我慢して感じきれなかった気持ちを、一つひとつ消化していきます。

すると、心に余裕が出てきて、「あれ、こう考えることもできるな」「自分が悪いと思っていたけど、お母さんの問題だな」というように、新しい考え方を選びなおす再決断ができるようになります。

感情処理(我慢した気持ちの手放し方)については、こちらでお話ししています。
感情処理法とインナーチャイルドの癒し ─ 我慢した気持ちの手放し方

①と②は、やっていることは同じです。インナーチャイルドを目の前に置くか、自分がインナーチャイルドになるか、の違いだけです。どちらも、思い込みが作られた決断場面の記憶を呼び戻し、その場面をもう一度体験しなおすことになります。

そうして、当時我慢して感じきれなかった気持ちを消化し、楽になる考え方へと導いていきます。

どちらの方法も、一人で行うことはできます。ただ、決断場面を呼び戻して再体験するという性質上、強い記憶や感情がよみがえることがあります。ですので基本的には、セッションの中で専門家と一緒に行うことを前提とした手法です。

完璧にやろうとすると、力が入ってうまくいきません。すんなりいかないことが多いものだと理解して、ある程度のところで区切って、繰り返し行っていきます。

愛着=感覚の癒しについては、こちらでお話ししています。
愛着と霊性 ─ HSP・クンダリニーの方の生きづらさ

癒しのあとは「学び」の時間

通常はここまでをインナーチャイルドの癒しと呼びますが、ここまでは、価値観の縛りを取ったり、緩めたりする段階です。

ここからは、新しい価値観で学んでいく時間になります。

例えば、愛された感覚の少ない人が「愛されてもいい」と再決断をしたとしても、愛情の心地よさは、まだ学んでいません。

同じように、「私には考える力がない」と思い込んでいた人が「自分で考えていいんだ」と再決断をしたとしても、これまで考えてこなかったので、考える力はまだ育っていません。

ここからが、学びの時間です。愛情を学んだり、考える経験を積んだり。セッションの中で、あるいは日々の生活の中で、意識して学びを重ねていきます。

それによって、本当の意味で、その人がもともと持っている力を取り戻していきます。

思い込みがほどけると、これまで一つしかなかった道に、別の選択肢が増えていきます。

霊性向上の修行の過程で、たくさんのインナーチャイルドを癒していきます。インナーチャイルド限りなく癒していくと、修行を重ねた聖人のように、欲のない、つまらない人になるようなイメージを持たれるかもしれません。けれど、おそらくそうではありません。インナーチャイルドを癒すと選択肢が増えていくので、より自由になり、心地いい方向を選べる自分になっていきます。

霊性向上を高めるとインナーチャイルドが癒しやすくなると感じています。霊性の全体像については、「霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話」でもお話ししていますので、合わせてご覧ください。

霊性向上の道を、一緒に歩んでみたい方へ

個別レッスンでは、霊性向上の修行と心理カウンセリングの技法を組み合わせて、その方に合った形でご案内しています。

  • この記事を書いた人

岩田 幸宏

神道の師匠のもとで霊性向上の修行をしています。 2010年 真言宗醍醐派当山派修験得度。 臨床心理士・倉成央先生が代表を務めるメンタルサポート研究所で 心理学を10年以上学び続けています。 心と霊性の両方から、霊性向上と生きづらさから抜け出す方法をお伝えしています。

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