
人混みに出ると、ぐったり疲れてしまう。
人の機嫌に振り回される。光や音、においに過敏に反応する。誰かの不機嫌を、自分のことのように感じてしまう。
「自分はHSPかもしれない」── そう気づいて、繊細さんの本を読んだり、診断チェックをしてみたりした方も多いと思います。それで「あ、やっぱりそうだったんだ」と少し楽になる。けれど、しばらくすると、また同じことで苦しくなる。
なぜ自分はこんなに敏感なのか。どうすれば、楽になれるのか。── 一般的なHSPの情報は、そこまでは教えてくれません。
このページでは、HSPの敏感さが「なぜ」起こるのかを、心理学と霊性の両方から、できるだけ分かりやすくお話しします。一般に知られているHSPの解釈とは、少し違う見方になります。その前に、ひとつ大切なお願いがあります。
敏感さがつらいときの、大切なお願い
体調不良がつらいときは、まず医療機関を受診してください。特に、強い不安や不眠、気分の落ち込みが続くとき、「消えてしまいたい」という気持ちがあるときは、何よりも先に専門の医療機関へ。
このページは、医療行為でも診断でもありません。霊性的な視点からの、ひとつの考え方をお伝えするものです。医療を否定するものではなく、医療と並行して読んでいただきたい内容です。当室で行っているのも、医療ではなく、霊性向上のレッスンです。
HSPとは ─ まずは、一般的な説明から
HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字をとった言葉で、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念です。日本語では「非常に感受性が強く、繊細な感覚を生まれ持った人」と訳されます。
一般には、HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、生まれ持った気質だと考えられています。およそ5人に1人(人口の2割ほど)が、その性質に当てはまるとされています。
代表的な傾向として、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 環境の微妙な変化によく気づく
- 他人の気分に左右されやすい
- 明るい光、強いにおい、大きな音などに圧倒されやすい
- 一度にたくさんのことを頼まれると混乱してしまう
- 美術や音楽に深く心を動かされる
- 子どもの頃、親や教師から「敏感」「内気」と思われていた
(参考:エレイン・N・アーロン著/冨田香里訳『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』講談社)
こうしたチェックで「自分はHSPだ」と分かること自体は、安心につながります。
けれど、本当に知りたいのは、その先ではないでしょうか。「なぜ、自分はこんなに敏感なのか」「どうすれば、この生きづらさが楽になるのか」── 多くのHSP情報は、その問いには答えていません。
一般のHSP解説と、ここで話すことの違い
アーロン博士自身も、著書のなかでHSPとスピリチュアルとの関係に触れています。けれど、宗教観の違いもあって、日本ではその部分はあまり取り上げられてきませんでした。
私は、霊性の理解がないと、HSPは「対処のしようがない問題」で終わってしまうと考えています。心と魂の両方から見て、はじめてHSPは理解でき、対処もできるものになります。
ここからは、一般的なHSPの解釈を超えた話になります。そのつもりで読み進めてください。
HSPは「霊感」なの? ─ スピリチュアルとの関係
HSPの方は、よく「自分は霊感があるのかもしれない」「スピリチュアルな体質なのでは」と感じます。場の空気を察したり、人の感情を自分のことのように受け取ったり、特定の場所で体調を崩したり ── ふつうの「気質」だけでは説明しきれない感覚があるからです。
その敏感さは、「霊感(霊が見える・声が聞こえるといった超能力)」とは別のものです。HSPの敏感さの正体は、このあとお話しする「プラーナ(生命エネルギー)を感じ取る力」であり、その源にあるのは、生まれ持った霊性の高さです。
霊能力は求めてはいけない力です。プラーナを感じ取る力を霊感だと考えてしまうと、霊能力を求める方向に進んでしまう危険性があります。
「霊感(霊能力)」については、こちらで詳しくお話ししています。
→ 神通力とは ─ 六神通とご法
HSPは「敏感な感覚」と「心の繊細さ」に分けて考える
HSPは「生まれ持った気質」と言われます。けれど私は、HSPの方の持っている敏感さを、次の2つに分けて考えています。
- 生まれ持った、感覚的な敏感さ ── 生まれつきの気質
- 後から身についた、心の繊細さ ── 育っていく過程で身につけた傷つきやすさ
実は、HSPでない方のなかにも、心が繊細で傷つきやすい人はたくさんいます。HSPのチェック項目を見ると、その多くは「心の繊細さ・傷つきやすさ」を測るもので、HSPでない方も当てはまりやすい作りになっています。
HSPの方の特徴は、その心の繊細さに加えて、生まれ持った感覚的な敏感さを併せ持っていることです。この2つを分けて見ると、HSPの仕組みが、ずっと分かりやすくなります。
まず「感覚的な敏感さ」から見ていきます。
なぜHSPは敏感なのか ─ プラーナを感じ取る力

HSPの方のなかには、特定の場所に行ったり、特定の人に会ったりすると、体調が悪くなる方がいます。
これは、プラーナというエネルギーに対する敏感さだと、私は考えています。プラーナとは、体に流れている生命エネルギーのことで、人だけでなく、場所や空間にも流れています。
プラーナには格式があり、霊性の高い人や場所には高いプラーナが、霊性の低い人や場所には低いプラーナが流れています。霊性の低い場所や人のそば、人混みのなかにいると、自分のプラーナもその影響を受けて下がったり、消耗したりします。
HSPの方は、このプラーナを感じ取る力が強いため、その変化を、疲れ・体調不良・不快感といった形で感じ取っています。これが、HSPの「身体的な敏感さ」の正体です。
実際、HSPの方が「神社やお寺に行くと調子がいい」と言うことがあります。これは、そうした場所に流れる高い霊性のプラーナの影響を受けているからだと考えられます。
プラーナ(生命エネルギー)そのものについては、別記事で詳しくお話しします。
→ プラーナとは何か ─ 生命エネルギーと霊性(※ 公開予定)
HSPの根本にあるもの ─ 求められている霊性の高さ
では、なぜHSPの方は、プラーナを感じ取る力が強いのでしょうか。
敏感さの源は、生まれ持った霊性の高さ
その出発点にあるのは、生まれ持った霊性の高さです。
本来、プラーナを感じ取る力は、修行を続けて霊性が高まるにつれて、少しずつ現れてくる力です。ところがHSPの方は、その力を、生まれたときから持っています。
私が多くの方を見てきた経験では、HSPの方は、生まれ持った霊性が高い傾向があります。その高さに見合うだけの敏感さを持って、生まれてきているのです。
だから、求められている霊性も高い
そして、ここがいちばん大切なところです。
高い霊性を持って生まれてくるということは、この人生で、さらに高い霊性へと成長することを求められている、ということでもあります。人は、霊性を高めるために生まれてきます。だから、高い霊性を持って生まれた人ほど、今世で、より高いところまで霊性を高めることを求められているのです。
つまり、私の研究では ──
HSPとは、求められている霊性が高い人、と整理できます。求められている霊性が高いのは、高い霊性を持って生まれてきたからです。
「求められている霊性」とは、本来この人生で到達すべき霊性のこと。それが高いのは、もともと高い霊性を持って生まれてきたからです。HSPの方は、素晴らしい素質を持つ人だとも言えます。
今の霊性は下がり、ギャップが生まれる
ただ、高い霊性を持って生まれても、ほとんどの方は、霊性を高める修行をしないまま大人になっていきます。
すると、生まれたときは高かった霊性も、育つうちに、だんだん周りの人と同じくらいの高さまで下がっていきます。これが、いま実際に保てている霊性 ──「今の霊性」です。
一方で、「求められている霊性」のほうは、生まれたときの高さのまま、変わりません。
その結果、求められている霊性は高いのに、今の霊性はそこに届いていない。この2つの霊性のあいだに、大きなギャップを抱えたまま、毎日を過ごすことになります。
心・体・魂はつながっています。だから、魂が求められている高さに届かないと、それが体や心の不調となって表れます。HSPの方が「検査をしても異常はないのに、なんとなく、いつも体調が良くない」と感じやすいのは、このためです。
ここまでを整理すると、こうなります。
- HSPは、高い霊性を持って生まれてくる(だから、人一倍敏感)
- その分、今世で「求められている霊性」も高い
- でも、霊性を高める修行をしないので、「今の霊性」はふつうの高さまで下がっていく
- 「求められている霊性」は高いまま、「今の霊性」は届かない ── このギャップが、心身の不調として表れる
これは、別記事「3つの霊性」でお話しした、「求められている霊性」と「今の霊性」のあいだのギャップそのものです。
「求められている霊性」「今の霊性」については、こちらで詳しくお話ししています。
→ 3つの霊性 ─ 今の霊性・適正霊性・求められている霊性
HSPが傷つきやすい理由 ─ 親子関係と愛着
もう一方の、「心の繊細さ」を見ていきます。
HSPの子は、親より高い霊性で生まれる
生まれ持った霊性が人より高いということは、ほとんどの場合、親よりも高い霊性で生まれてくるということでもあります。ここに、HSPの方が心に傷を抱えやすい理由があります。
赤ちゃんは、とても未熟な状態で生まれてきます。親や、親に代わる大人に抱きしめられ、守られながら、「愛されることは心地いい」「私は愛されている」「世界は安全だ」という、自分と世界への基本的な感覚を育てていきます。
抱きしめられても、安心が育ちにくい
ところがHSPの子は、親よりも高い霊性で生まれてくることが多いため、自分より低い親の霊性を敏感に感じ取ってしまいます。すると、親に抱きしめられても、心地よさを感じにくいのです。
心地よくなければ、「愛されている」という感覚も、安心感も、育ちにくくなります。
親の方が霊性が低いため、本来は守ってもらうはずの親が、自分より不安定に感じられる。子どもにとって、これはとても不安なことです。なかには、幼いうちから親を気づかい、大人になっても自分を後回しにして、他人の世話ばかりしてしまう方もいます。
親もまた、高い霊性の子を怖がる
さらに、親のほうも、自分より霊性の高い子を、どこか怖く感じることがあるようです。その怖さを隠すように、怒ったり、避けたりして、親自身も気づかないまま、HSPの子に向ける愛情が少なくなりがちです。
そして、その親の恐れもまた、HSPの子は敏感に感じ取ってしまいます。
理解されない敏感な感覚
HSPの子は、実際に感じている感覚を、理解されずに育っていきます。
場合によっては、おかしな子として扱われ、「自分はおかしい」と思うかもしれません。
こうした体験が積み重なって、心の根っこにある「愛されている感覚」── 愛着 ── に傷ができたり、インナーチャイルドと呼ばれる傷つき体験を抱えたりします。これが、HSPの「心の繊細さ」の正体です。
「自分は愛されない」「自分はダメだ」といった思い込み(インナーチャイルド)の癒しについては、「インナーチャイルドとは何か ─ 心理学で分かりやすく解説」で詳しくお話ししています。
HSPの生きづらさは、対処できる
ひとくちにHSPと言っても、その程度は人それぞれです。なかには、クンダリニー症候群と呼ばれる、対処の難しい症状を抱えている方もいます。
敏感さの強い方のなかには、クンダリニー症候群と呼ばれる症状を抱える方もいます。
→ クンダリニー症候群とは ─ 原因と、回復への道
程度の差はあっても、感覚的な敏感さも、心の繊細さも、どちらも対処していける問題です。
感覚的な敏感さへの対処
感覚的な敏感さは、感じなくすること(鈍感になること)は難しいものです。けれど、その敏感さは、霊格が高まっていく途中で自然に現れるものであって、悪いものではありません。
体調が悪くなっても、原因を探って対処すれば、症状は収まっていきます。対処できるようになれば、感覚的な敏感さは、それほど大きな問題ではなくなります。
心の繊細さへの対処
心の繊細さのほうは、インナーチャイルドの癒しなど、心理的なアプローチによって、少しずつ変えていくことができます。
まとめ ─ HSPは、高いところから始まった人
ここまでをまとめます。私の研究では、HSPとは ──
- 求められている霊性が高く、感覚的に敏感な人
- 生まれ持った霊性の高さゆえに、心に傷を抱えやすい人
と整理できます。
求められている霊性が高いのは、高い霊性を持って生まれてきたからです。人は、霊性を高めるために生まれてきます。だから、高い霊性を持って生まれた人ほど、今世で、さらに高い霊性へと成長することを求められます。
HSPであることは、悪いことではありません。むしろHSPの方は、高いスタートラインから人生を始めた人だと言えます。
生きづらさを抱えて生きるのは、つらいことです。けれど、その生きづらさがあったからこそ、「霊性を高める」という視点に出会えた、とも言えます。
高いところから始めて、生きづらさを越えて、さらに霊性を高めていく。HSPの生きづらさには、そういう意味があるのではないかと、私は考えています。
霊性の全体像については、「霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話」でもお話ししていますので、合わせてご覧ください。