心の癒し

修行としてのインナーチャイルドの癒し ─ 気づくことから始まる、心の修行

修行としてのインナーチャイルドの癒しをイメージした、自然の中で穏やかな表情を浮かべる女性の画像

私が心理カウンセラーでもあるということもありますが、当室では、インナーチャイルドの癒しを、修行の大切な一つにしています。もちろん、他の修行もなくてはならない大事なものです。そのうえで、レッスンの中では多くの時間を、インナーチャイルドの癒しに使っています。

理由は、ひとつには、単純に時間がかかるということ。そしてもうひとつは、インナーチャイルドの癒しが、他の修行をしても霊性が上がりにくい原因になっている心の問題を、減らすことができるからです。

インナーチャイルドの癒しでは、性格の変えたいところを変えることができます。すると日々の生活が生きやすくなりますし、霊性も高まりやすくなります。そして、修行が行いやすくなる。そんなメリットがあります。

この記事では、当室がインナーチャイルドの癒しに、修行としてどのように取り組んでいるか。そして、その結果どんなメリットがあるかをお伝えします。

なお、「なぜ心を癒すと霊性が高まるのか」という理屈は、別の記事で詳しくお話ししています。この記事は、その実践編にあたります。

心を癒すと霊性が高まる理屈は、こちらで詳しくお話ししています。
インナーチャイルドの癒しと霊性向上

まず、インナーチャイルドに気づく

インナーチャイルドの癒しをするには、まず、インナーチャイルドに気づくことです。気づかなければ、対処することができません。

苦しみの原因は、相手ではなく、自分の中にある

私たちは、苦しみを感じているとき、原因が相手にあると思うことが多くあります。

相手のせいにして、「分かってくれないから」「大事にしてくれないから」「私が怒るようなことを言うから」というように、「相手が悪いから自分は苦しいんだ」と、苦しみの原因が相手にあると考えがちです。

もし、苦しみの原因が相手にあるのならば、苦しみは相手次第であって、自分では対処できないことになってしまいます。

でも、実際には、同じような状況になっても、苦しくなる人と、苦しくならない人がいます。

そう考えてみると、相手の行動は苦しくなるきっかけになっているだけで、根本の苦しくなる原因は、自分の中にあるのです。これが、インナーチャイルドです。

ですから、何か苦しいことがあったときに、「これは自分の中のインナーチャイルドなんだ」と思うこと。言い換えると、「自分の性格の問題なんだ」と思うことが、とても大事です。自分の問題だと思うことで、対処していけるようになります。

ずっと相手のせいにして他責をしていると、ここに目が向けられません。まずは、他責をやめて、「自分は、こういうときに腹が立つ」「悲しくなる」「怖くなる」と、自分の性格パターンに気づくことです。

かといって、自分を責めることもしない

「他責から抜け出すことが大事」だからといって、「性格の問題なんだから、自分のせいだ」「自分が悪い」と、自分を責める必要はありません。

自分を責めることで苦しくなり、霊性を下げてしまいます。

他責をやめるのは、自分を悪者にするためではありません。気づいて、対処するためです。ですから、他者を責めるでもなく、自分を責めるでもなく、「こういうときに、こうなるんだ」と、ただ気づいて自分を理解することです。

問題が多く見つかるのは、きちんと勉強している証拠

自分の性格に問題点が多いと思うことは、悪いことではありません。

勉強をしていない人は、自分の心を見つめることがあまりありません。勉強を始めて心を見つめるようになると、自分には問題点がとても多いと、傷つくかもしれません。

でも、それは当たり前のことです。心を見つめて、見つけようとしているのだから、見つかるのです。それは、きちんと勉強をしているということです。

多くの問題点があるということは、変われるところが多くあるということです。言い換えると、伸びしろがたくさんあるということであって、幸せになる要素をたくさん持っているということです。

インナーチャイルドは、「適応」だった

もう一つ、大事なことがあります。インナーチャイルドは、適応だということです。

インナーチャイルドは、幼少期の親子関係の中で作られました。小さい頃の家の中で、「こんなふうに生きたらいいんだ」「こんなふうに考えたらいいんだ」と、家やこの世界に適応するために取り入れた考え方や感じ方が、インナーチャイルドです。

今は苦しみの原因になっている考え方や感じ方であっても、それらは、小さい頃の家の中で生き抜くために必要だったものなのです。

ですから、インナーチャイルドがあるのは当たり前のことであって、多くあっても、それは厳しい世界を生き抜いてきた証です。たくさんのインナーチャイルドがあっても、それで自分を責める必要はありません。

このページでは、インナーチャイルドを「心の問題」と言ったり、このサイトの別の記事では「誤った意識」「霊性の低い意識」と表現したりすることがあります。本来、意識に間違いなどありません。これは、インナーチャイルドは幼いころの家に適応した考え方や感じ方であって、大人にとって、また、霊性向上の修行者にとっては、不適応な考え方や感じ方である、という考えをもとにした表現です。

それ自体はただの適応で、良い悪いはありません。子どもの頃には必要だった意識で、心も魂も大人になった、霊性向上に励む人には、不要な意識だということです。

「インナーチャイルドがあるから自分が悪い」と自分を責めてしまうと、隠したくなってしまいます。隠す必要はありません。誰のせいにするでもなく、自分のせいにするでもなく、「ただ、あるんだ」と気づいて、否定しないで受け止めていくことです。

インナーチャイルドそのものの仕組みは、こちらで詳しくお話ししています。
インナーチャイルドとは何か ─ 心理学で分かりやすく解説

苦しみがあふれたとき、インナーチャイルドに流されない

気づくことと合わせて、今ある苦しみに流されない努力も大切です。

イライラしたり、怖かったり、悲しかったり。そんな気持ちがあふれてきて苦しいときは、感情処理法や、お経を唱えて霊性を高めるなどの対処で、苦しみから抜け出すことです。怒りの対処には、アンガーマネジメントを使うのも良いでしょう。

感情処理法では、湧き出る感情をそのまま感じて処理します。不快な気持ちを感じながら、ふうっと息を吐いて、力を抜いて、苦しい気持ちをそのまま受け止めます。不快な感情を体の外に出すように、息とともに気持ちを感じて、処理していきます。

祝詞やお経を唱えられる環境であれば、唱えて霊性を高めることで心に余裕が生まれ、落ち着くことができます。

アンガーマネジメントという心理トレーニングには、怒りをそのまま外に出さないために、怒りが湧いたら6秒だけ、心の中で秒数を数えるという方法があります。6秒の間に落ち着いていって、怒りをやり過ごすテクニックです。

これらを使って、少し考えが回るようになってきたら、「これはインナーチャイルドなんだよな」と自分の中に目を向けて、不快な感情に振り回されたままでいないようにすることです。

私たちは、インナーチャイルドに対して無力ではありません。考えや感情、行動したい衝動が出てきても、そのうえで、違う行動を選ぶことができるのです。

感情の処理のしかたは、こちらで詳しくお話ししています。
感情処理法とインナーチャイルドの癒し ─ 我慢した気持ちの手放し方

レッスンでの、3つの取り組み

このようなインナーチャイルドの対処を、当室ではレッスンの中で扱っていきます。取り組みは、大きく分けると次の3つです。

  1. 今ある苦しみへの対処
  2. 修行をやりやすくするための癒し
  3. 神仏から教えていただいた課題への対処

① 今ある苦しみへの対処

今、困っていることは対処しやすいものです。困っていることはつらいですから、どうにかしたい。だからこそ、「自分を変えたい」という気持ちが湧きやすいのです。

たとえば、こんな状況を思い浮かべてみてください。

  • いつも家の中でイライラしてしまい、家の中がギクシャクしている
  • 人前でスピーチをする予定があるのに、いつも緊張してうまく話せない
  • 毎日顔を合わせるお姑さんが、どうしても苦手

こんな状況なら、「こんな自分を変えたい」という気持ちになると思います。この「自分を変えたい」という気持ちが、自分を変えて、成長していくために、とても大事です。

レッスンとレッスンの間の、日々の生活の中で感じた苦しみを見つめていき、同じ状況でも苦しくならないように対処していきます。

これによって、霊性を引き下げるインナーチャイルドが減っていくのと合わせて、日々の生活そのものが楽になっていきます。

目に見える形で自分が変わっていくことは、「さらに変わりたい」という気持ちにつながります。

せっかく霊性向上の勉強をしているのですから、霊性を高めた先の幸せだけでなく、勉強している過程でも、幸せになっていってほしいと思っています。

② 修行をやりやすくするための癒し

①は、本人が「苦しい」と感じている問題への対処でした。

②は、本人がそれを苦しみと受け止めていなかったとしても、霊性が高まりにくい価値観を持っている場合に、話し合いながら積極的に対処していくものです。

いくつか、例を挙げます。

「言われるとやりたくない」というインナーチャイルド。これを持っていると、「これをやるんだよ」と修行のやり方を教わっても、教わった修行をやりたくなくなってしまいます。さらに、「明日こそ、ちゃんとやらないと」と自分に言い聞かせることで、自分で自分に指示を与えてしまい、その自分の声さえ命令と受け取って、ますますやりたくなくなる。そんな悪循環が起こります。

「自分はダメだ」という自己卑下のインナーチャイルド。修行に取り組めない自分を責めて、霊性を下げてしまいます。霊性が下がれば、やる気も失われ、より修行に取り組めなくなります。

「自分は間違っている、私は知らない」というインナーチャイルド。間違っている・知らないと思い込んでいるので、防衛的になって自分の正しさを証明しようとすることがあります。強く持っていると、新しいの意見を受け取れなくなります。空の容器には、たくさんの物を入れることができます。中身が入っていないことを認めることで、新たな学びを自分の中に取り入れることができるのです。防衛的になって、正しさや優秀さで身を守っている間は、教えが心の奥までは響きません。

「私は劣っている」というインナーチャイルド。劣っている感覚を感じないために、他者と比較して「より優れていること」を目的に修行に取り組んでしまうことがあります。これでは、本来の目的である霊性向上に、目が向きません。

ここに挙げた例のほかにも、気持ちよく修行に取り組むことを阻害するインナーチャイルドは、たくさんあります。

先ほどお伝えしたように、インナーチャイルドは「適応」です。子どもの頃、家の中でより安全に生きるために取り入れたもの。子ども時代には適応していたものが、大人になった今、そして霊性向上に取り組むうえでは、不適応になっただけなのです。

ですから、インナーチャイルドを悪いものと考えずに、自分の中にある「霊性向上に不適応なインナーチャイルド(価値観)」を探していきます。

お唱えやヨーガを毎日行うには、ある程度の時間がかかります。社会生活をしていれば、たまにできない日があるのは仕方のないことです。一人ひとり状況が違う中で、修行に取り組んでいくのです。

ですから、その人がどんな心の問題に対処したら修行がしやすくなるかを話し合い、検討して、対処していきます。

③ 神仏から教えていただいた課題への対処

③は、少し特別な場合です。

修行の過程で、ご神仏が「この問題に対処しなさい」と教えてくださることがあります。

それは、その人の人生において重要な課題であり、変えることで人生が大きく変わる問題です。そして、教えてくださるということは、その人に対処する力があると、ご神仏が判断されたということです。

ですから、教えていただいた問題は対処して解決できるのです。その問題に対処することは、ご神仏のご指導のもとで修行させていただけるという意味でも、とても価値のある修行になります。

ここで大事なのは、ご神仏が「できる」と教えてくださっているのですから、できると信じて行うことです。

「信じて、行う」ことの大切さは、こちらで詳しくお話ししています。
信じて、行う ─ 一枚起請文に学ぶ、霊性向上のコツ

まとめ ─ 気づいて、受け止めて、癒していく

当室の、修行としてのインナーチャイルドの癒しについてお話ししました。

苦しみの原因は、相手ではなく、自分の中にあります。他責をやめて気づく。かといって、自分を責めることもしない。「こういうものがあるんだな」と受け止めて、癒していくことです。

心の問題が減るほど、日々の生活は楽になり、修行はやりやすくなり、霊性は高まりやすくなります。

インナーチャイルドを癒すには「変わりたい」という思いが必要です。

私は「変わりたい」「幸せになりたい」という欲は、ある程度の段階までは持っていていい欲だと考えています。霊性を高めた先の悟りの世界の幸せも、今の生活をより良くする幸せも、目指してほしいと思います。

相手を変えるのではなく、自分を変えて成長して、少しずつ苦しみを減らして、幸せになりながら成長していってほしいと思っています。

霊性の全体像については、こちらで詳しくお話ししています。
霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話

霊性向上の道を、一緒に歩んでみたい方へ

個別レッスンでは、霊性向上の修行と心理カウンセリングの技法を組み合わせて、その方に合った形でご案内しています。

  • この記事を書いた人

岩田 幸宏

神道の師匠のもとで霊性向上の修行をしています。 2010年 真言宗醍醐派当山派修験得度。 臨床心理士・倉成央先生が代表を務めるメンタルサポート研究所で 心理学を10年以上学び続けています。 心と霊性の両方から、霊性向上と生きづらさから抜け出す方法をお伝えしています。

-心の癒し