
- 突然、自律神経がめちゃくちゃになった
- どこで検査しても、異常は見つからない
- ヨガをして、おかしくなった
ある日突然、原因のわからない症状が、いくつも同時に襲ってくる。検査では異常が見つからず、病院では「様子を見ましょう」と言われる。あるいは、自律神経失調症など、別の診断を受けることもあります。
家族にも分かってもらえず、「気のせいでは」と言われて、もう誰にも相談できない。自分は、頭がおかしくなってしまったのではないか ── そう感じて、一人きりで抱え続けている方がいます。
その症状そのもののつらさに加えて、「誰にも理解されない」という孤独が、とても苦しい。私は、そういう方を何人も見てきました。
このページでは、その症状を「クンダリニー症候群」という視点から、できるだけ分かりやすくお伝えします。そのつらさには、意味があるかもしれません。ただ、その前に、ひとつ大切なお願いがあります。
医療に関する大切なお願い
クンダリニー症候群かもしれないと思っても、まず医療機関を受診してください。
特に、強い幻覚・幻聴、激しい不安や不眠、「消えてしまいたい」という気持ちがある場合は、何よりも先に専門の医療機関へ。たとえば統合失調症は、現代医学では早い段階で適切に治療を始めることが、症状を進ませないためにとても大切だとされています。
このページは、医療行為でも診断でもありません。霊性的な視点からの、ひとつの考え方をお伝えするものです。医療を否定するものではなく、医療と並行して読んでいただきたい内容です。当室で行っているのも、医療ではなく、霊性向上のレッスンです。
つらいときは、我慢せず、まず医療を頼ってください。そのうえで、原因がはっきりしないとき、この記事の視点が手がかりになるかもしれません。
クンダリニーとは何か
東洋の思想では、体には、現代医学では解明されていないさまざまなエネルギーが流れていると考えられてきました。
そのなかに、ヨガで考えられている クンダリニー(クンダリーニ)というエネルギーがあります。
クンダリニーは、背骨の根もと、仙骨のあたりに眠っているとされるエネルギーです。ふだんの生活では基本的に動かず、仙骨付近にとどまり続けています。
本来は、生涯ほとんど動かないのですが、精神的な修行などによって霊性が高まると、その高まりに合わせて、自然に動き出します。魂の成長に合わせて動き出すエネルギーであることから、「悟りに至るエネルギー」とも言われます。
ただ、悟りに至るエネルギーであるがゆえに、「クンダリニーを動かすことが素晴らしいことだ」と考えて、霊性の理解がないままクンダリニーを動かそうとしている団体・ヨガ教室・個人が、一部にあるようです。
その人たちにクンダリニーを動かす力がなければ、何も起こらず問題はありません。問題は、中途半端に力があって、クンダリニーが動いてしまったときです。動き出したクンダリニーに対応できなければ、長いあいだ、さまざまな症状に苦しみ続けることになります。
クンダリニーを動かすこと自体を目的とした修行やヨガは、とても危険です。本だけで霊性を高めることには限度があります。不必要にクンダリニーを動かそうとすることは、控えてください。
クンダリニー覚醒と、「悟った」という勘違い
クンダリニーが覚醒して動き出すと、「悟り」とも思えるような、強い至高体験をすることがあります。
ただし、ここは大切なところです。霊性向上にともなう自然なクンダリニー覚醒は、おだやかなものです。 これからお話しするような激しい変化は、本来は起こりません。
この覚醒時の感覚を、江戸時代の名僧・白隠禅師が『夜船閑話』に記しています。
疑問惑障は根本から氷解し、過去現在未来永劫にわたる生死の業が、根底から消滅してしまい、自由自在の心境となり、自分は天地の生命と一体であることを悟ることができた。
(引用:直木公彦『白隠禅師 ── 健康法と逸話』日本教文社、1955年初版/1975年改訂版)
白い光のようなエネルギーが体を駆け抜ける。深い幸福感。愛されている感覚。すべてと一つになったような感覚 ── そう感じる方もいます。
「天地の生命と一体」と感じられるほどですから、とても心地よい感覚なのでしょう。修行の先でこうした体験をしたら、それを「悟り」だと思ってしまうのも、分からなくはありません。
けれど、白隠禅師は、その後にこう続けています。
頭痛、胸痛がはなはだしく、肺と心臓がやけ焦げるようで、両手両脚は氷雪のように凍え、耳はガンガン鳴りつづけ、なにごとに対しても臆病になり、神経過敏に、かつ恐怖に駆られ、心身困憊し、夜は眠ることも出来ず、夢と現の境をゆき交い、両脇はつねに汗ばみ、両眼は涙が流れつづける
(引用:直木公彦『白隠禅師 ── 健康法と逸話』日本教文社、1955年初版/1975年改訂版)
白隠禅師は、このようなクンダリニー症候群の症状に苦しみ、白幽子の教えのもとで修行を深め、これを克服しました。白隠禅師が伝えているこの感覚は、クンダリニー症候群で悩む方には、なじみのあるものかもしれません。
クンダリニーが動き出すと、見えない世界の情報を受け取りやすくなるなど、超能力と呼ばれるような力を得ることがあります。すると、覚醒時の至高体験や、その後の超能力によって、「自分は悟った」と勘違いしてしまう人がいます。
悟りは、霊性を高めた先にあるものです。クンダリニー覚醒で超能力を得ても、悟ったわけではありません。それでも本人は本気で悟ったと思い込み、霊性が高まっていないまま、教祖やスピリチュアルの先生のようになってしまうことがあります。本人が正しいと信じて中途半端な教えを広めてしまうのは、とても残念なことです。
霊能力にとらわれる危うさについては、別記事でお話ししています。
→ 神通力とは ─ 六神通とご法
なぜ、その症状が起こるのか
クンダリニー症候群は、動き出したクンダリニーの強さと、自分の霊性とが合っていないために、さまざまな症状が引き起こされている状態です。
クンダリニーは、火のエネルギーと言われる、とても強いエネルギーです。霊性が高まり、その強いエネルギーに耐えられる「通り道」ができてから動き出せば、問題はありません。けれどクンダリニー症候群は、まだ通り道のできていないところに、突然、強いエネルギーが流れている状態です。
たとえるなら、ふだんは小食の人に、無理やり大量の食べ物を食べさせるようなものです。口も食道も胃も腸もパンパンに膨らんでいるのに、それでもなお食べ物が流れてくる。エネルギーの通り道は、クンダリニーの火に焼かれて傷つきます。体に何らかの症状が出るのは、当然のことなのです。
これは、「3つの霊性」でお話しした、求められている霊性と、今の霊性のあいだのギャップの話と重なります。
「求められている霊性」と「今の霊性」については、こちらで詳しくお話ししています。
→ 3つの霊性 ─ 今の霊性・適正霊性・求められている霊性
繰り返しになりますが、安易にクンダリニーを動かそうとすることは、大変危険です。本やインターネット上にも、「これをやって大丈夫なのか」と心配になるような情報があります。独学や、未熟な指導者のもとでの学びで、霊性が高まらないままクンダリニーが動き出すと、クンダリニー症候群になってしまうことがあります。
ひとりで自己流に進むことの危うさについては、別記事でもお話ししています。
→ 独学で霊性を高めるのが難しい理由
主な症状
クンダリニー症候群で現れることがあるとされる症状には、たとえば次のようなものがあります。
- 眩暈(めまい)
- 吐き気
- 強い疲れ
- しびれ
- 原因のわからない痛み
- 止まらない恐怖や不安
- 幻覚・幻聴
- 感覚過敏
- 現実感のなさ
- 後頭部の不快感
これらに加えて、激しい自律神経の乱れや、思いもよらないさまざまな症状が現れます。「体の中に白い管がある」と表現する方や、「一時的に目が見えなくなる」という方もいました。
軽い場合は、これらの一部だけが出ることもあり、そうした軽度の方も多くいます。重い場合は、何らかの病名がついて入院が続くこともあります。そして、軽くても重くても共通してつらいのが、「病名がつかない、でもつらい」「誰にも理解してもらえない」という状況です。「頭がおかしいと思われる」と感じ、誰にも言えないまま、一人で苦しみ続けていた方もいます。
修行やヨガをしていなくても起こる
クンダリニー症候群は、特別な修行やヨガをしていなくても、発症することがあります。
主に、
- HSPと言われるような、生まれつき敏感さを持っている方
- 小さな頃から、見えないものを感じ取ってきた方
- スピリチュアルなことに敏感な方
こうした方が、強い心理的ストレスや、出産・事故などの肉体的なストレス、霊能者との関わりなどをきっかけに、発症することがあります。症状も、発症する時期もさまざまですが、私の印象では、20代から30代の女性に多く見られます。
こうした方は、本来、生まれ持った霊性が高いことが少なくありません。けれど、霊性を高める学びをしてきたわけではないため、今の霊性は一般の方と変わらない状態にあります。その高い本来の霊性に引っ張られるようにクンダリニーが動き出し、ギャップによって苦しむことになります。
HSPと霊性の関係については、別記事でお話ししています。
→ HSPとは何か ─ 霊性から見えてくる、敏感さの理由
回復に向けて
クンダリニー症候群の根本にあるのは、クンダリニーの強さと、自分の霊性とのギャップです。ですから、根本的な解決は、自分の霊性を高めていくことにあります。
クンダリニーは、魂の成長を促すエネルギーです。日々の行を続けながら、自分の中にある霊性の低い意識 ── とらわれ、恐れ、こだわり ── を見つめ、少しずつ手放していく。霊性が高まり、ギャップが縮まっていくにつれて、症状は自然と落ち着いていくと、考えています。
ただ、霊性を高めるには、時間がかかります。そこで、当面のつらさへの対処としては ── 強い心理的ストレスが発症のきっかけになっている場合も多いので ── 溜め込んできた感情を吐き出し、ストレスそのものをやわらげていくことで、いくらか楽になることもあります。
そして、ここが大切なところです。クンダリニーは、悪いものではありません。 それは、霊性向上を望み、魂の成長を促そうとする、神様の意思と言われるエネルギーです。
結びに ─ その症状は、あなたのせいではない
クンダリニー症候群は、自分の霊性とクンダリニーのギャップから起きていると、私は考えています。一般的な検査では捉えにくく、原因がはっきりしないことが多いのは、このためです。
つらい症状の渦中にいるとき、それを前向きに受け止めるのは、簡単なことではないと思います。けれど、これだけはお伝えしたいのです。
その症状は、あなたが弱いから起きているのでも、あなたのせいでもありません。誰にも理解されず、一人で抱えてきた時間にも、意味があります。クンダリニー症候群は本来、「魂から成長して、霊性を高めていきましょう。本来の生き方に戻りましょう」という、内側からのメッセージとして捉えることができます。
そして、必ず出口があります。
霊性の全体像については、「霊性とは何か ─ 目には見えない魂の話」でもお話ししていますので、合わせてご覧ください。